皆さん、こんにちは!「下町AI探究者」のガジュマロです。
googleさんの技術資料、「Prompt Engineering」の内容をかみ砕いてお伝えするプロンプト講座を、以下の内容でお伝えしています。
なお、ご自身の興味や優先順位で、下記リンクから他の記事に飛んでいただいて大丈夫です!
- 第1回:AIの仕組みと「お願い上手」の基本
- 第2回:シンプルに頼む方法&お手本を見せる方法 (ゼロショット/フューショット)
- 第3回:AIに役割・ルール・状況を伝える工夫 (ロール/システム/コンテキスト)
- 第4回:AIにもっと深く考えてもらうヒント (ステップバック/CoT)
- 第5回:実践編!Excel作業などをAIに手伝ってもらうヒント
- 第6回:総集編!お願い上手・心得帖
このシリーズも、第5回目となりました。
前回はAIに「もっと深く考えてもらう」ためのヒントを探りましたね。
さて、今回はいよいよ実践編です! これまで学んできたプロンプトの基本や工夫を活かして、私たちの普段のお仕事、特にパソコンを使った作業で、AIにどんな風にお手伝いをお願いできるのか、具体的なヒントを探っていきましょう。
お仕事にもAI? Excel作業やデータ整理を手伝ってもらおう
特に今回は、多くの方がお仕事で使われているであろう「Excel」にスポットライトを当ててみたいと思います。
このブログでは、これまでにも、
- Excel関数で困ったときにAIに相談する方法 (実践編】Excelの関数、もう悩まない?)
- Excelマクロが分からなくても、AIに組んでもらって業務効率UP!
- AIと一緒にExcelマクロ【基本編】|【応用編】
- AIマクロ探索シリーズ
といった形で、AIをExcel作業の助っ人にする方法をいくつかご紹介してきました。
今回は、それらの実践例も思い出しながら、「どういう風にお願いすれば(どんなプロンプトを書けば)、AIはもっと的確に、私たちの意図を汲んで手伝ってくれるのか?」という、「お願いの仕方=プロンプト」の観点から、AI活用の可能性をさらに深掘りしていきたいと思います!
なお、今回の内容は、以上に並べた記事を読んでくださっている方にとっては、繰り返しの内容になるかと思います。復習のつもりで目を通していただいてもいいですし、そのまま次の記事(最終回)に移っていただいても大丈夫ですよ。
AIに「プログラムのお手伝い」をお願い?【コードプロンプティング】
「AIにプログラムのお願い」と聞くと、「いや、プログラムは専門家が作成するものでしょ?しかも私は初心者だし、扱う事なんてとてもとても…」などと思わず考えてしまいませんか?
しかしAIは、プログラムも言葉と同じように、作成できてしまいます。
AIにプログラムコード(コンピューターへの指示書)の作成や説明、修正などを依頼することを「コードプロンプティング」と言います。
私たちのようにプログラミングの専門家でなくても、「こういう作業を自動化したい」「この関数の意味が知りたい」「このエラーの原因は何だろう?」といった目的を、分かりやすい言葉でAIに伝えることで、AIがコードという形で具体的な手順を示してくれたり、解決のヒントをくれたりする可能性があるんです。
もちろん、AIはパーフェクトではありません。完璧なコードを一発で書いてくれるとは限りませんし、時には見当違いなコードを作ることもあります。しかし、私たちがゼロからコードを勉強して組むより、AIが作ってくれるコードをヒントに試行錯誤(トライ&エラー)した方が、結果的に早く仕事の手助けになるかもしれません。
Excel作業でAIアシスタントを活用するヒント(プロンプトの視点から)
では、具体的にExcel作業でAIにどんなプロンプトができるか、そしてその際の「お願いのコツ」を見ていきましょう。
①「こんなマクロ(VBA)作って!」(コード作成のお願い)
繰り返し作業を自動化できるマクロ。AIに作成をお願いする際には、できるだけ具体的に、明確に指示を出すのが成功のコツです。
- 以前の記事で作ったようなマクロを例にすると…
- 悪い例(曖昧): 「シートを整理するマクロ作って。」 → これではAIも何をどう整理すればいいか分かりませんよね。
- 良い例(具体的): 「現在開いているExcelブックの全てのシートに対して、A1セルからC10セルの範囲で、セルが結合されていたら解除し、解除後の各セルに**『処理済み』**という文字を入力するVBAマクロを作成してください。エラーが発生した場合に備えて、簡単なエラー処理(例: メッセージを表示して終了する)も加えてください。コードには、各処理が何をしているか簡単なコメントを入れてくれると助かります。」 → このように、「何を」「どこで」「どうする」「追加の要望(エラー処理、コメント)」などを具体的に伝えることで、AIはより意図に近いコードを生成しやすくなります。
- ポイントのおさらい:
- 目的を明確に: 何を自動化したいのか?
- 対象を具体的に: どのシート?どのセル範囲?
- 処理内容を具体的に: コピー?削除?入力?書式設定?
- 追加の要望も伝える: コメント、エラー処理、変数名の指定など(できる範囲で)。
②「この関数 / マクロ、どういう意味?」(コード説明のお願い)
Excelの関数や、他の人が作ったマクロ、あるいはAI自身が作ったマクロの意味が分からない時、AIに説明をお願いするのも有効です。
- プロンプト例(関数):
「Excelの COUNTIFS関数について、SUMIFS関数との違いを含めて、具体的な使用例を3つ挙げながら、中学生にも分かるように説明してください。」
(→ 「〇〇との違い」「具体的な使用例」「〇〇にも分かるように」といった指定で、より分かりやすい説明を引き出す工夫です。) - プロンプト例(マクロ):
「以下のExcel VBAコードが、全体として何をするためのものなのか、そして各行が具体的に何をしているのかを、ステップ・バイ・ステップで詳しく解説してください。\n\n[ここに理解したいVBAコードを貼り付け]\n」
(→ コード全体だけでなく、「各行」や「ステップ・バイ・ステップ」と指定することで、より詳細な解説が期待できます。)
③「エラーが出た!助けて!」(デバッグのお願い)
関数やマクロがうまく動かない時、AIに間違い探し(デバッグ)のヒントをもらうこともできます。
- プロンプト例:
「Excelマクロを実行したら、『実行時エラー ‘1004’: アプリケーション定義またはオブジェクト定義のエラーです。』というエラーメッセージが出て、以下のコードの〇行目(Worksheets(“Sheet2”).Range(“A1”).Value = “テスト”)で止まってしまいました。考えられる原因と修正方法の案をいくつか教えてください。\n\n[エラーが出たVBAコード全体を貼り付け]\n」
(→ 具体的なエラーメッセージ、エラー箇所(可能であれば)、そして関連するコード全体を提示するのが重要です。)
AIは、貼り付けたコードからエラーの原因(構文ミスや変数名のタイプミス、オブジェクトの指定間違いなど)を解析し、解決策を提示してくれる可能性があります。
④「もっと良い書き方ない?」(コードレビューのお願い – ちょっと応用)
これは少し応用ですが、一応動いているマクロでも、「もっと処理を速くしたい」「他の人が見ても分かりやすいコードにしたい」「汎用性を高くしたい」といった改善の相談もできます。
- プロンプト例: 「このExcelマクロは期待通りに動くのですが、データ量が多いと処理に時間がかかります。もっと効率的に、処理速度を改善できる書き方があれば提案してください。\n\n[改善したいVBAコードを貼り付け]\n」
データ整理と「出力形式」の工夫
コードに限らず、テキストデータの整理や整形といった作業でもAIは活躍します。そして、その際に「どんな形式で答えを出してもらうか」を工夫するのも、プロンプトエンジニアリングの重要なポイントです。
- 情報の抽出と整形(箇条書き、表形式など):
以前にも例に挙げましたが、長い文章から必要な情報を抜き出して箇条書きにしたり、比較しやすいように表形式でまとめてもらったりするのは、非常に便利な使い方です。プロンプトで「〇〇形式でまとめて」と明確に指示しましょう。 - 構造化データでの出力(JSON形式など):
第3回のコラムでも触れたJSON形式。これは、情報を「項目名」と「値」のペアで整理するルールでしたね。AIにお願いしてこの形式で出力してもらうと、後でデータをプログラムで処理したり、Excelに読み込んだりするのが格段に楽になります。
- プロンプト例: 「以下の顧客からの問い合わせメールの内容から、『顧客名』『問い合わせ日時』『問い合わせ内容の要約』『対応状況(未対応/対応中/完了)』を項目として抜き出し、JSON形式で整理してください。\n\n[問い合わせメールの本文]」
- 出力形式を色々試してみよう!
AIの答えは、必ずしも文章である必要はありません。箇条書き、表、JSON、あるいはプログラムコードなど、様々な出力形式を指定できます。プロンプトで仕事で使う資料の形式を指定すれば、出てきた出力をコピー&ペーストで仕事が終了、ということも可能です。より使いやすく、目的に合った結果をが得られるように、いろいろと試してみましょう。
実践のための心構え(まとめ)
最後に、AIにお仕事関連のお願いをする際の心構えをまとめておきましょう。
- とにかく具体的に!: 何をしてほしいのか、明確に、詳しく伝えましょう。
- AIの答えは「下書き」か「ヒント」: 必ず自分で確認・修正・テストしましょう。鵜呑みは危険です。
- 小さなことから試す: まずは簡単な作業で成功体験を!
- セキュリティ意識を忘れずに: 個人情報や機密情報の扱いは慎重に。
- 試行錯誤を楽しむ: 一度でうまくいかなくても当たり前。AIと対話しながら、より良い「お願いの仕方」を探っていくプロセスそのものを楽しみましょう!
- 時には学びを: AIの作るコードや説明を見て、「なるほど、こうすればいいのか」と新しいスキルや知識を得られるチャンスでもあります。
まとめ:AIをあなたの頼れるアシスタントに
今回は実践編として、特にExcel作業を中心に、AIにお仕事を手伝ってもらうためのプロンプトのヒントを探ってみました。
コードプロンプティングという考え方を使えば、プログラミングの専門家でなくても、AIにマクロ作成のヒントをもらったり、関数やコードの説明を求めたり、デバッグの手がかりを得たりすることができます。また、データ整理や出力形式の工夫も、日々の業務効率化に繋がる可能性があります。
もちろん、AIは万能ではありませんし、注意すべき点もあります。しかし、その特性を理解し、上手な「お願いの仕方」を身につけていけば、AIは私たちの日常業務における強力で頼れるアシスタントになってくれるはずです。
このブログでご紹介してきた様々なExcel活用例も、皆さんがAIに上手にお願いするためのヒントになれば幸いです。ぜひ、ご自身の業務で「これ、AIに手伝えそう!」と思うことがあれば、簡単なことから試してみてくださいね。
次回予告
さて、全6回でお届けするこのシリーズも、いよいよ次回が最終回となります!
【最終回】では、これまでの第1回から第5回までの学びを総まとめです。 AIと長く、賢く、そして楽しく付き合っていくための「お願い上手・心得帖」として、効果的なプロンプトを作る上で大切にしたいポイントを、ギュッと凝縮してお届けします。これまでの内容を復習しながら、ぜひご覧ください!
どうぞお楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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